■節度ある中にも深い情熱を伴った「大人」の演奏
6月9日雷の鳴る大雨の中、紀尾井ホールで行われた東京吹奏楽団の第54回定期演奏会を聴きに行ってきました。この雨の中、客の入りも悪いだろうと思いつつ出かけてみたのですが、意外にも満席状態で座る席を探すのにも苦労しました。紀尾井ホールはとても綺麗でホッとできるようななんとも良い気持ちがするので好きです。当日は学生が多く、きっと第一部の吹奏楽コンクールの課題曲が目当てだったのでしょう。
1曲目はスッペ作曲の序曲ウィーンの朝昼晩。吹奏楽版を生で聴いたのは久しぶりでしたが、曲調の変化をとても豊かに表現していました。テナーサックスの原ひとみさんのソロも、叙情溢れる歌心たっぷりで素晴らしかったと思います。
吹奏楽コンクール課題曲はマーチ有り、難しい曲有り、高校生の作った曲有りでバラエティにとんでいてとても楽しく聴くことができました。曲の合間に団員が曲の解説などを挟みながらでしたので、学生たちは熱心に聴いていました。どの曲も指揮の汐澤氏の深い解釈とそれに応える東吹の楽団員の大胆で繊細なテクニック、音色、音楽性に惹かれました。個人的には3曲目の「セリオーソ」が妖しい感じで気に入りました。
第二部は、ゲストのフルート奏者デニス・ブリアコフ氏が加わりました。レコード・CDがあれば帯に「超絶技巧」と付いていそうな言葉では言い尽くせない素晴らしい演奏でした。表現も豊かで何よりも音の鳴りがずば抜けている感を受けました。それに加え、27歳のイケメンの青年でした。ますます人気が上がるのでは…
ブリアコフ氏のアンコールではざわついていた会場が、一瞬にして彼の無伴奏曲に耳を奪われ、しっとりとした演奏で観客をより一層惹きつけました。ぜひまた来日の際には聴いてみたいと思います。
私は東京吹奏楽団の演奏会は3回目ですが、汐澤安彦氏の指揮は初めてでした。節度ある中にも深い情熱を伴った演奏というかどっしりとした「大人」という印象を受けました。前回2回とは違うサウンドを楽しむことが出来ました。東京吹奏楽団も今後が楽しみで、より一層聴衆の心を惹くような演奏をもっと頑張っていってもらいたい。
次回の定期演奏会のゲストはベルリンフィルハーモニー管弦楽団の首席トロンボーン奏者オラフ・オット氏だということなので、楽しみにしています。
【プログラム】
○スッぺ/「ウィーンの朝・昼・晩」序曲
2008年吹奏楽コンクール課題曲 全5曲?
○内藤淳一/ブライアンの休日?
○糸谷良/マーチ「晴天の風」?
○浦田健次郎/セリオーソ?
○片岡寛晶/天馬の道~吹奏楽のために~?
○井潤昌樹/火の断章? ?
フルートソロ:デニス・ブリアコフ
○ブリッチャルディ/ヴェニスの謝肉祭
○ドップラー /ハンガリー田園幻想曲
○
サン=サーンス/ 序奏とロンドカプリチョーゾ
アンコール(ブリアコフ)
○E.バッハ/無伴奏フルートソナタ1楽章
○M.マレー/ル・バスク
アンコール(東吹)
○民謡/arr.A.リード/グリーンスリーブス
○K.L.キング/バーナムとベイリーの人気者
■次回定期演奏会
2008年11月28日(金) 文京シビック 大ホール
開場18:20 開演19:00
指揮 汐澤 安彦
トロンボーン オラフ・オット
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 首席トロンボーン奏者
詳しくはこちらをご覧下さい。http://www.tousui.jp/
【東京吹奏楽団のCD】
■時任&東吹~スパーク、チェザリーニ、パーシケッティ~/
時任康文・指揮/東京吹奏楽団
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1607/
■序曲「1812年」/Ouverture "1812"
汐澤安彦・指揮/東京吹奏楽団
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1605/
■エクウス~エリック・ミーツ・東吹~/
エリック・ウィテカー・指揮/東京吹奏楽団
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-1606/
(2008.08.05)
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