Tokyo Wind Symphony Orchestra 60th Anniversary

第55回定期演奏会 創立45周年記念公演 

Tokyo Wind Symphony Orchestra 55th Periodic concert

2008年11月28日(金)
文京シビックホール 大ホール

開演19:00 開場18:20 ロビー16:00開場


指揮     汐澤 安彦
トロンボーン オラフ・オット
         ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
         首席トロンボーン奏者


プログラム
第1部  
~ベルリンフィルよりTromboneの名手を迎えて~

G.ヴェルディ/「運命の力」序曲
川崎  優/吹奏楽のための組曲 より
    Ⅰ.プロローグ 序曲
    Ⅱ.パストラーレ 牧歌
    Ⅳ.ペルペトウウム・モビレ 無休曲
ヨハン・デ=メイ/ T-BONEコンチェルト 
 Ⅰ.Rare レア
 Ⅱ.Medium ミディアム 
 Ⅲ.Well done ウェルダン
    ゲストトロンボーン:オラフ・オット
     ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
     首席トロンボーン奏者

第2部  
 ~ルロイ・アンダーソン 生誕100年~

R.A.ホワィティング/ハリウッド万歳!
ルロイ・アンダーソン曲集 
 「シンコぺーテッド クロック」
   「クラリネット キャンディ」
 「ワルツィング・キャット」
 「ラッパ吹きの休日」
L.バーンスタイン /arr.W.J.デュトワ
 「ウエスト・サイド・ストーリー」セレクション

第55回定期演奏会

オラフ・オット

開演前イベント

16:30〜18:30
ロビーにて楽器体験コーナー開設 LinkIcon
見て吹いて音を出してみよう。東吹メンバーがアドバイス。

io Clarinet quartet

17:30〜
ロビーコンサート  by  イオ・クラリネット・カルテット
グローバル社の新製品イオ・クラリネットを使用したカルテット。

演奏会前のロビーでくつろぎながらお聴き下さい。
 プログラム
  モーツァルト/ディベルティメントより1楽章
  グランドマン/バガテル
  ディズニーメドレー  その他

物販コーナー開設

全席自由

一般   4,000円/大学生 3,000円/高校生以下 2,000円    
(当日券は全て500円高)

チケット取り扱い
ホームページ販売 LinkIcon
電子チケットぴあ LinkIcon

■文京シビックホール・チケットセンター(窓口販売のみ)
■新大久保/(株)グローバル(03-5386-5111)
■横浜/(株)セントラル楽器(045-324-3111)
■新大久保/(株)ダク(03-3361-2211)
■新宿/(株)ドルチェ楽器東京本店(03-5909-1771)
■新大久保/東京吹奏楽団事務局(03-5287-2050)

日本トロンボーン協会会員は 前売り券のみ 各500円割引
 割引チケット取り扱い及び販売店
 ■新大久保/(株)グローバル(03-5386-5111)
 ■横浜/(株)セントラル楽器(045-324-3111)
 ■新大久保/(株)ダク(03-3361-2211)
 ■新宿/(株)ドルチェ楽器東京本店(03-5909-1771)
 ■新大久保/東京吹奏楽団事務局(03-5287-2050)
   *会員証提示の上お求め下さい(会員1名につき1枚まで)
   *当日の割引券販売はありません 当日券は全て500円高
   *ホームページ販売割引との併用はできません

日本トロンボーン協会 LinkIcon

主催  東京吹奏楽団
後援  (社)全日本吹奏楽連盟   東京都吹奏楽連盟
    (社)日本吹奏楽指導者境界 
    (財)日本音楽教育文化振興会
      日本トロンボーン協会
協賛  (株)河合楽器製作所  (株)グローバル

オラフ・オットからのメッセージ

Message from Olaf Ott

拝啓

 私がトロンボーンを吹くことになったきっかけは、父が吹奏楽団でバリトン(ユーフォニアム)を吹いていたためであるということを、まず申し上げておきたいと思います。
 吹奏楽は私の人生の道づれであり、私はその現代の音楽の中に、サウンドやテクニックの可能性を多く見出してきました。吹奏楽のサウンドに浸るのが好きで、今でも時間が許せば、故郷ドルトムントの吹奏楽団で演奏しています。
 ドイツには、非常に多くのアマチュア吹奏楽団やプロ吹奏楽団があるので、これまでにも私は、頻繁に吹奏楽でソロを吹いてきました。吹奏楽で特に感銘を受けるのは、そこから出てくる力強さとエネルギーです。いわば「サウンドの絨毯」の上で、思う存分に吹き鳴らせるのは、実に愉しいことです。優れた吹奏楽団では、ピアニシシモからフォルテテシモまでのダイナミックスが際立っていて、巨大なオルガンの響きを想起させます。
 
 東京吹奏楽団のCDを頂戴し、お聴きしたところ、とても素晴らしい演奏で、今回一緒に演奏出来ることを心より楽しみにしています。

敬具


オラフ・オット
訳・大友由紀子

Sehr geehrte Damen und Herren,

zunächst möchte ich sagen, dass mein Vater in einem Blasorchester Bariton(Euphonium) gespielt hat, deswegen habe ich erst überhaupt mit der Posaune angefangen.
Die Blasorchesterkultur begleitet mich mein ganzes Leben, ich finde den Klang und die technischen Möglichkeiten gerade in der modernen Musik enorm. Ich liebe es diesen Klängen zu lauschen und spiele noch gern mit meinem "Heimatblasorchester"(in Dortmund), wenn es die Zeit erlaubt.
Da es in Deutschland sehr, sehr viele Amateurblasorchester und viele "Profi-Blasorchester" gibt, hatte ich schon sehr oft die Gelegenheit als Solist mit einem Blasorchester aufzutreten.
Besonders beeindruckt mich die Kraft und die Energie die von einem Blasorchester ausgeht, es macht einfach Spass sich auf so einem "Klangteppich" als Solist auszutoben. In einem guten Blasorchester können gerade die dynamischen Möglichkeiten(ppp-fff) besonders hervorgehoben werden, manchmal erinnert mich der Klang an eine große Orgel.
Ich freue mich sehr auf die Zusammenarbeit dem Tokyo Wind Symphony Orchestra,da ich schon die Möglichkeit hatte eine CD zu bekommen und zu hören, es klingt sehr sehr schön.

Mit freundlichen Grüßen

Olaf Ott






コンサートの聴き所

Hearing place of concert

 東吹にとって、今年二回目の定期演奏会が近づいて来ました。団員一同、皆さまにお会い出来る事を楽しみにしております。この定期も6月の紀尾井ホールにおける演奏会と同様に、汐澤、東吹の黄金コンビ共演であるとともに、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、トロンボーン首席奏者である、オラフ・オット氏をゲストに迎えてお送りします。

今回の曲目はオープニングに、ヴェルディ作曲「運命の力」序曲、をお届けします。ヴェルディの不朽の名作をお楽しみ下さい。
 続いては、川崎 優作曲「吹奏楽のための組曲」、より抜粋で演奏します。川崎氏は30年程前には、東吹の指揮者であった時期もあり、東吹とは深い関わりがあります。この曲の初演も東吹が演奏しています。
 前半最後の曲は、オラフ・オット氏のソロによる、ヨハン・デ=メイ作曲「T-BONEコンチェルト」です。言葉はいりません。世界最高峰の演奏をお楽しみ下さい。

 後半は、ルロイ・アンダーソン生誕100年を記念して、アンダーソン定番の名曲「シンコペーテッド・クロック」、「クラリネット・キャンディ」、「ワルツィング・キャット」、「ラッパ吹きの休日」の4曲の他、R.A.ホワイティング作曲「ハリウッド万歳!」、L.バーンスタイン作曲「ウエスト・サイド・ストーリー・セレクション」をお届けします。溌溂とした、東吹の珠玉のサウンド!どうぞお楽しみ下さい!

星野均(楽団委員長)

 東吹では1963年の創立当時から、吹奏楽の可能性を探り拡げる事を目的とし、日本人の作曲家に数多くの作品を委嘱してきました。楽譜庫には相当な数の邦人作曲家の作品が残っています。これらの作品中から再演されるのにふさわしい曲を、今後の演奏会で取り上げていきます。今回は川崎 優作曲「吹奏楽のための組曲」です。ご期待下さい。

管理人

曲目解説

Number decoding

「運命の力」序曲/ジュゼッペ・ヴェルディ
 ジュゼッペ・ヴェルディは1813年北イタリアに生まれる。商人宿を営む家業に育つ暮らしは貧しかったが富裕な後援者を得てブッセートで音楽の基礎を学び、ラヴィーニアについて作曲、ピアノ、ソルフェージュを勉強した。
 1842年、スカラ座で初演された「ナブッコ」が大成功で出世作となる。
 1901年、ミラノで88年の生涯を終える迄に、「リゴレット」、「椿姫」、「運命の力」、「アイーダ」、「オテロ」、「ファルフスタッフ」等不朽の名作と云われるオペラ26曲を残した。
 常に対比されるワグナーとは同年の生まれであるが、ロッシーニ、ドニゼッティの後継者としてロマン派時代のイタリアオペラを最高レベルに引き上げたオペラ作曲家である。
 この「運命の力」は、1862年ペテルブルグで初演された4幕からなるオペラで、スペインとイタリアを舞台に、愛と憎しみ、幸と悲しみ、祝福と呪いが入りまじった悲劇で、主人公をはじめ登場人物が一人残らず死んでしまう、まさに運命の力には勝てないといった物語。
 序曲は力強いファンファーレで始まり、オペラの色々なテーマや動機がつながって展開され、どっしりと重みがあり旋律も美しく、しかもドラマティックな名曲である。


吹奏楽のための組曲/川崎 優
「吹奏楽のための組曲」は東京吹奏楽団の創立10周年記念演奏会のために委嘱された作品です。
それまでの3曲の吹奏楽曲同様、日本的な感興を盛り込んで作曲しましたが、この曲は日本的な旋律を使用するのを避け1/2 + 2/2拍子というリズムを曲全体の基調として用い、ニ、ハ、変口という3つの主和音からできたモチーフと、この和音の上に生まれた特徴的な旋律で統一されています。

(1)プロローグ 序曲(2)パストラーレ・牧歌(3)インターメッツォ・間奏曲(4)ペルペトウウム・モビレ・無休曲(5)エピローグ・終曲の5つの小曲を組み合わせたものです。
今日はこの中から(1)プロローグ 序曲(2)パストラーレ・牧歌(4)ペルペトウウム・モビレ・無休曲の3曲を演奏して頂きます。


東京吹奏楽団の創立10周年記念演奏会のために委嘱された「吹奏楽のための組曲」が再演されることになり私は大変嬉しく思います。東吹育ての親、山本正人先生指揮の初演の時を懐かしく思い出しています。
この度は東吹の顔、マエストロ汐澤安彦氏指揮による演奏で私の作品の真価が皆様にお届けできます事を嬉しく思います。そして少なからずご縁のありました、東京吹奏楽団の今後益々のご発展を心から期待致します。

川崎 優


T-BONE Concerto/Johan de Meij ヨハン・デ=メイ

 ヨハン・デ=メイはオランダのフォールブルフ(Voorburg)に生まれる。ハーグ王立音楽院で指揮とトロンボーンを学び、作曲、アレンジャー、映画音楽やミュージカルなどジャンルを問わず作品を発表し、世界的な名声を得ている。デ=メイの実質上初の吹奏楽作品である交響曲第1番「指輪物語」で1989年にサドラー国際吹奏楽作曲賞を受賞し、吹奏楽作曲家としてデビュー。また1999年イタリアのコルチャーノ国際作曲賞や2000年オマーン国際作曲賞も受賞する。

 T-BONE コンチェルトについて作曲家自身の記述があるのでここに紹介する。「T-BONE コンチェルト」はソロ楽器と吹奏楽の為の最初の作品です。それぞれTボーンステーキの焼き加減の“Rare(レア)” “Medium(ミディアム)” “Well Done(ウェルダン)”と呼ぶ3楽章形式を取っている。(注:骨付き肉のTボーンとTromboneをもじっているのは言うまでもない)

 この作品はケンタッキー音楽教育委員会Kentucky Music Educators Association(KMEA)に委嘱され、1995年8月から1996年1月にかけて作曲される。ジャック・モージェ(Jscques Mauger)のトロンボーンソロ、モーリス・ハマース(Maurice Hamers)の指揮とオランダ王立海軍軍楽隊(The Band of Royal Dutch Marines)によって1996年4月1日アムステルダム・コンセルトヘボウで世界初演はされた。

 ソロトロンボーンに加え、ウィンドオーケストラの内部で編成される室内楽のようなアンサンブル・・・2組の木管5重奏(2Fl,2Ob,2Cl,2Hr,2Fg)とイングリッシュホルンとストリングベース・・・が、重要な役割を受け持っている。そのアンサンブルは、重要な主題の導入を提示したり、ソロの伴奏に徹したりし、透明感のある伴奏を創り出している。

 1楽章、2楽章はそれぞれA-B-Aの形式で書かれ、トロンボーンの特徴を生かし、テクニックと音楽性の両方を兼ね備えたソリストの能力を披露する。3楽章の冒頭は1、2楽章の主題を発展させたネオバロック様式を持つ。曲の終わりに向けて勝ち誇ったフィナーレと、圧倒的なヴィルトゥーソでエンディエングを迎える。


ハリウッド万歳!/R.A.ホワィティング
 古き良き時代のミュージカル・コメディ映画「ハリウッド・ホテル」(1937年バスビー・バークリー監督、ディック・パウエル主演)。冒頭のスターを目指して、ハリウッドへ旅立つ主人公を見送るシーンで歌われるのがこの曲。
 映画音楽が華やかだった頃の、映画の都ハリウッドが鮮やかによみがえってくるような音楽である。ショーミュージック・スタイルを中心にして、中間部にスイングを入れたリズミカルなナンバー。


ルロイ・アンダーソン曲集
 今年、生誕100年を迎えるルロイ・アンダーソンは、親交の厚かったボストン・ポップス管弦楽団の常任指揮者、アーサー・フィードラーと共にセミクラシックと呼ばれる親しみ易い名曲を数多く発表しました。今日は彼の大ヒットした作品の中から4曲お聴き頂きます。
 「シンコペーティッド・クロック」は、アメリカのテレビ番組「レイト・ショー」のテーマ音楽として書かれた曲です。正確に刻む時計の音に目覚ましのベルが鳴る音をはさみながら、途中からシンコペーションのリズムが加わり、最後は時計の壊れる音で曲が終わります。
 「ワルツィング・キャット」は身体をすりよせて喉を鳴らすように、旋律の間に『ミャーオ』という鳴き声も聴かれますが、最後は犬に吠えられて逃げ出す猫、ユーモア溢れる曲です。
 アンダーソンの作品には特待の楽器をフィーチャー曲も多く、「クラリネットキャンディ」、「トランペット吹きの休日」では各楽器の魅力を引き出した明るく爽やかな曲です。


「ウエスト・サイド・ストーリー」セレクション
 レナード・バーンスタインは1918年生まれの現代アメリカを代表する作曲家であり、又指揮者としても世界中のオーケストラから声をかけられるほどの最も人気のある天才音楽家であったが、残念ながら1991年に逝去した。
 残した作品も数多いが、このミュージカル〈ウエスト・サイド・ストーリー〉は〈ロメオとジュリエット〉のアメリカ版ともいえる作品で、人種的闘争を背景にしながらロマンティックで、しかもダイナミックなスケールの大きいミュージカルとして全世界で評判になった作品で、初演から50年以上経った現在でもスタンダードな人気は衰えない。
 このセレクションは、ミュージカルの中から有名な曲をメドレーにしたもので編曲はデュトワ。

汐澤&東吹

Olaf Ott

Olaf Ott

クラリネット・キャンディ

ラッパ吹きの休日

Olaf Ottと東吹トロンボーンセクション

【レポート】
東京吹奏楽団55回定期演奏会 創立45周年記念公演

日時:2008年11月28日(金)
会場:東京・文京シビック大ホール
村田 厚生(トロンボーン奏者)
http://www.sonata.jp

プロのシンフォニックバンドとして長い歴史を持つ東京吹奏楽団。経験豊富な汐澤安彦氏の棒の下、今回も定評ある落ち着いた響きで作品の美しさを語ってくれた。

■ヴェルディ「運命の力」序曲
 オリジナルでは管に弦の不安のテーマが混ざり「希望の中に運命の不安が湧き上がる」ような美しさが特徴である。既存のアレンジではこの部分が管楽器同士で単なる不協和音として耳障りに聞こえてしまいやすい。しかし東吹の演奏では原曲の雰囲気をそのままにテーマが交錯して発展していく様がよく現れていてた。メンバーがオーケストラでの演奏経験も豊富なことがこうした選曲で成功する秘訣だろう。中間部の前、弦全員で弓をあわせて弾ききるような表現を吹奏楽でどうするか?オーケストラに近づけるか別の表現でいくか?など踏み込めばアレンジ作品もより興味深いのではないか。
■川崎 優「吹奏楽のための組曲」
 東京吹奏楽団の10周年時の委嘱作品。セクションごとの響きが際立って親しみやすい曲想。学生バンドなどでトレーニングにもなりコンサートで観客も楽しめるということでもっと取り上げられてもよいと思う。

■ハリウッド万歳!、アンダーソン曲集、ウエストサイドストーリー
 吹奏楽のパワーや機動力が存分に活かされたこれらの曲目。逆にいえば単なるショーに陥りやすいが東吹の演奏は決してそうはならない。メロディラインを大切に常に美しい響きが保たれる。そしてキレのある明快な打楽器パートに観客はワクワク。クラリネット・キャンディのソリはハイテンポでも異常なほどそろっていて余裕。名手ぞろいを実感した。

■ヨハン・デメイ「T-BONEコンチェルト」
 ベルリン・フィル首席奏者のオラフ・オット(Olaf Ott)氏をソリストに迎え、世紀の名演になった。この曲はトロンボーンの朴訥でダイナミックなキャラクターと曲想がマッチし、1996年の初演以来世界各地で演奏され親しまれている。

 オット氏は柔らかく輪郭のはっきりした音色。Tuttiでも自然に浮き上がりしなやかで、音量のためにニュアンスを犠牲にすることがない。このような効率のよい音色は今後の日本のトロンボーン界でも理想的な選択肢の一つになるに違いない。

 吹奏楽は倍音構造が似た楽器が多く、アレンジも必要以上に音が重ねられていて個々の楽器の個性を相殺してしまう傾向にある。そんな中でデメイのコンチェルトはいろいろな組み合わせの小編成アンサンブルやチェンバロが使用されるなど非常に多彩。明らかに新しいブラス・サウンドを追求していて新鮮だった。東吹も数少ないプロの吹奏楽団としてこのような今後の吹奏楽界の指標ともなるべき選曲やオリジナル・アレンジ、さらに他の楽団とは違う「東吹ならではの何か」をもう少し示してもよかったのではないかと思う。

 アンコールではオット氏がチャールダーシュを演奏。この人は音楽を表現することを本当に楽しみ、それを必ず観客と共有しようという強い意志を持っている。東吹もその意図を感じコンチェルト以外の曲目でも表現しそれを伝えることの喜びに満ちていた。観客を含めてすべての人が暖かい気持ちになる。そんなコンサートだった。そういう意味でオット氏は演奏以外にもコンサート全体に絶大な精神的貢献をしたといえるだろう。それこそがまさにソリストでありベルリンフィル首席であり、真の音楽家の姿なのだろう。

詳しくはバンドパワーへ LinkIcon